イタリア車何でも辞典

メーカー編

●FIAT (フィアット)  :

 1899年トリノに設立された、既に100年以上の歴史を持つ会社。 FIATという名前は Fabbrica Italiana Automobili Torino(トリノ イタリア自動車製作所)の頭文字。 会社設立者は9名だが、その中に有名な ジョバンニ・アニエッリがいる。 戦後の500、最近のPANDA(パンダ)など、日本では小型車が有名である。 また実際に小型車作りがうまいメーカーである。 1970年頃はフィアットだけでイタリア国内の自動車シェア80%程を占め、長らくイタリアのパトロンとしてたくさんのメーカーを引き受けてきたが、最近はドイツ車、フランス車にシェアを奪われ、経営危機に陥っている。 これは自動車のグローバル化に乗り遅れた為と言われているが、イタリア車ファンとしては、どこの国の車か分からなくなるよりは、独自の素晴らしい小型車作りをして欲しいところである。

●ALFA ROMEO (アルファロメオ)  :

 1910年ミラノに設立。 ALFAという名前は Societa Anonima Lombarda Fabbrica Automobii (ロンバルダ自動車製造株式会社)の頭文字。 後にニコラ・ロメオの会社がALFA社を買収したため、ふたつの名前が合体して、Alfa Romeoになる。 イメージがスポーティーで名前がロマンチックということもあり、日本では昔から一定の人気を誇っている。 戦前はレースで華々しい活躍をし、超高級車を超お金持ちのために販売していた。 戦後はちょっと高級な量産車メーカーに路線変更をし、それが現在まで続いてる。 経営の行き詰まりから国営になり、現在はFiatの一部門になっており、最近はBMWやAUDIに並ぶプレミアムブランドを目指している。 よく本当のアルファロメオは6Cまでだ、とか75までだ、とかいう話を聞くが、いくらベースがフィアットであれアルファロメオというメーカーが出している車である以上、全てアルファロメオであり、問題はその車が魅力的かどうかということであろう。

●LANCIA (ランチア)  :

 1906年ビンチェンツォ・ランチアがトリノに設立。 ビンチェンツォ・ランチアはフィアットに設立当初から所属していたが、自らの理想の車造りのために独立している。極めて先進的なメカニズムを持ち、常に他メーカーより先を行く車を作っていたが、他の特徴あるメーカーと同様に経営が状態が悪くなり、1969年にフィアット傘下となる。 その後は独自性は薄れはしたものの特徴あるエレガントな車を作っていたが、現在はブランドの存続も危ない状況になってきている。 日本ではストラトスやデルタなどのラリーのイメージが強いが、ランチア自体はメーカー設立時から幾多のレースで活躍をしている。 

●MASERATI (マセラティ)  :

 1914年アルフィエーリ・マセラティがボローニャに設立。 マセラティは6兄弟として有名であるが、兄弟を率先してきた長男のカルロは会社設立前に他界しており、会社設立時には他にエットーレ、エルネストが参加している。 またアルフィエーリの他界後ビンドが参加している。 この時代はレーシングモデルのみ製作していたが、残った3人の兄弟は会社経営には向いておらず、経営をアドルフォ・オルシに譲り、車の開発に専念する。 戦後、オルシとの関係がうまくいかなくなったマセラティ兄弟は会社を辞め、新たにO.S.C.A.という会社を興している。 マセラティが純粋な公道用スポーツカーを出したのはマセラティ兄弟が会社を辞めてからである。 その後マセラティはシトロエンの傘下、アレッサンドロ・デ・トマソによる経営と紆余曲折はあるものの、後世に残る有名なレーシングカー、またはロードカーが数多く作られている。 現在はフィアット傘下にあるフェラーリの傘下になっており、メーカーとしての勢いは強くなりつつある。 現在残っているイタリアンブランドでマセラティほど経営者によってカラーが変わったメーカーは他に無いであろう。 特にアレッサンドロ・デ・トマソ時代の一連のビトルボシリーズは賛否両論であり、現在のマセラティ社自体も空白の時代にしたいようである。 現在まともに乗ることができるマセラティはビトルボシリーズと、フェラーリエンジンが搭載された現在のモデルであり、両車の間には性格的にかなりの隔たりがある。 現在のマセラティはイタリアにおいても日本においても、普段乗ることができる、派手すぎないスタイルで包んだ官能のフェラーリエンジンということで、なかなか良いポジションにいると思われる。 

●FERRARI (フェラーリ)  :

 アルファロメオのレーシングドライバーだったエンツォ・フェラーリが自らのレーシングチームであるスクーデリア・フェラーリを設立したのが1929年。 フェラーリ自らの名前のついた車が出るのが1946年。 基本的にフェラーリの歴史は1946年から始まるとされている。 世界で誰もが憧れる一番官能的な自動車を作り、常にレース活動をしているフェラーリは、戦後からの会社であり、伝統的なアルファロメオ、ランチア、マセラティが戦前にしていたことを引き継いだ唯一のメーカーである。 市販車を売るのはレース活動をするためという理由は、現在のレース活動をしている他メーカーとまったく逆の発送である。 現在の社会のしくみを考えるとこのような会社が、フィアット傘下にあるとはいえ、独立性を保って活動を続けているのが不思議なくらいであるが、現在も富の象徴としてそれなりのパトロンが存在するわけである。 フェラーリが他メーカーの自動車と違うところは財産として捉えられるところであろう。(最近はそうでもないようであるが) それ故ヨーロッパの高速道路を高速で走っているのは純粋な機械であるドイツ製高級車ばかりで、フェラーリは大事に納屋にしまわれている。 スポーツカーが好きな人は一度は乗ることを憧れる車である。 

これからもまだまだ続きます


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