Q4
あなたはゆきえさんに待ってもらい、副社長に、今日は友達との約束があるので改めて食事に誘っていただけないかとお願いをしました。副社長は「随分仲のいい女友達なんだな。しかし、先に約束をしていては仕方ないな。」と納得してくれました。
あなたは、ゆきえさんにはたまたま副社長とそこで会ってしまってと言い訳をしながら、ゆきえさんが停めている車の方へ一緒に走っていきました。
その時、前方にあなたが将来いつかは乗りたいと思っている古いイタリア製オープンカーが停まっているのを見つけました。あなたは思わず、車の名前を叫び、ゆきえさんにちょっとの間だけこの車を見ていいか聞きました。するとあろうことかゆきえさんは
「これが私の車よ。よかったわ。あなたが知っている車で。」
と言いました。あなたはゆきえさんには趣味の話はしていなかったはずです。ゆきえさんに聞くと、ゆきえさんはあなたがスポーツジムにイタリア車で来ていることを知っていたようでした。あなたは、周囲から、注目の的になっているにも関わらず、たっぷり時間をかけてその車をあちこちから眺めました。ゆきえさんは、あとでじっくりながめたらいいのに、と言いながらもあなたを待ってくれていました。ゆきえさんは手際よくエンジンをかけ車をスタートさせました。助手席に座っているあなたは、憧れの車に乗っていることと、それをゆきえさんが運転していることにとても幸せを感じていました。しかし車が走り始めてすぐ、あなたの視界には苦々しい表情をしてあなたを見ている副社長とたか子さんの姿が入ってきたのでした。
ゆきえさんは郊外のおしゃれなレストランにあなたを連れて行ってくれました。そこは席から駐車場が見えるために、食事をしながらも車を眺めることができます。あなたはあまりの興奮のため、ゆきえさんの話を聞く前に、いかにあの車に憧れているかを話しました。あなたの話が一段落した後、ゆきえさんはその車についてゆっくり説明してくれました。その車は父親の形見で、父親の夢はその車でイタリアのミッレミリアに出ることだった。自分は小さいときからいつも助手席に乗っていて、その車には父親の思い出が山のようにつまっている。できればミッレミリアにその車で出場したい。だが今までイタリア車が好きで、運転がうまくて、かつ自分の気に入った男性が現れなかった。ということでした。そこまで聞いて、あなたはまさか自分に白羽の矢が当たったのではあるまいなと思いながらも聞いてみました。
「まさか、ゆきえさんは自分に一緒にミッレミリアに出て欲しいというのじゃないよね?」
ゆきえさんは、
「そのまさかよ。お願いをしたいからあなたを食事に誘って、こうやって車を見せているのよ。」
あなたは今日、たか子さんと付き合う決心をしたばかりです。さぁ、あなたはどうしますか。
たか子さんも副社長の頼みも会社の仕事も、ゆきえさんと車とミッレミリアを前にすれば全てかすんでしまう。会社を首になっても構わない。ゆきえさんの望みを受け入れ、ミッレミリアに出てみよう。人生何とかなるさ。