Q4
あなたは誤解された勢いでゆきえさんに交際を申し込みました。ゆきえさんは
「仕事がどうなってもいいの?」
と聞きましたが、これまた勢いで
「どうなってもいい。」
と答えてしまいました。ゆきえさんは、
「分かったわ。あなたがそう言ってくれるのは私もうれしいわ。でも返事は明日まで待ってくれるかしら。明日、日付が変わる頃にこの店に来てちょうだい。」
と言いながら一枚のイタリアンレストランのカードをあなたに渡しました。
次の日、あなたは居心地の悪さを感じながら会社で一日を過ごしました。仕事がどうなってもいいと言ったものの、仕事が無くなれば生活はできません。いきなり転職するわけにもいきませんので、頃合いを見計らって副社長のところに謝りに行こうと思っています。
さて、その夜あなたはゆきえさんの指定された店に行きました。それは雰囲気の良い小じんまりしたイタリアンレストランでしたがちょうど閉店する時間でした。ゆきえさんの姿も見えないので、後片付けをしている店員に名前を告げると、店員は
「オーナー、お客さんですよ。」と言いながら奥にゆきえさんを呼びに行きました。あなたのびっくりしている顔を見ながらゆきえさんは
「びっくりした?小さい店だけどここのオーナーなの。もっとびっくりするものを見せてあげるわ。」
と言ってあなたを奥の部屋に招き入れました。そこにはなんとあなたの生涯の目標にしているイタリア製オープンカーが輝いていました。あなたは何がなんだか訳が分からず口をあんぐりと開けたままです。ゆきえさんは、店も車もお父さんが残した物でそれをゆきえさんが引き継いでいることや、お父さんの夢はそのイタリア製オープンカーでミッレミリアに出ることだったけど、夢がかなう前に他界してしまったことなどを話しました。コーヒーを飲み、落ち着いた時にゆきえさんは言いました。
「もし、あなたが今の会社を辞めるのなら、イタリアに行ってこの車で一緒にミッレミリアに出て欲しいの。その後のことはイタリアで一緒に考えましょう。それがあなたへの答えよ。」
さあ、あなたはどうしますか。
いくらゆきえさんと憧れのミッレミリアに出場できたとしても、会社を辞めてイタリアでいったいどうするというのだ。生活を捨てることはできない。せっかくのゆきえさんの申し出は断ってサラリーマンを続ける。